家事労働者、家事従事者とは
家事従事者であれば休業損害も主婦の分が補償されると聞きましたが、私の夫は既に他界しております。主婦としては認められますか。
家事従事者と認められるのは、自分以外の家族のためにする家事労働を行っていたことが前提となります。
ですので、自分自身のためだけに家事を行っていたとしても、休業損害及び後遺障害逸失利益の算定の基礎として、家事従事者の賃金(女性全年齢平均賃金)を基にこれを計算することはできません。
同様の判断を行った裁判例としては、名古屋地裁平成12年8月30日判決(交民3巻4号1407頁)があります。
本裁判では、被害者は有職の主婦であるから賃金センサスを休業損害の基礎とすべきと主張するが、本件事故当時夫は既に死亡し、本件事故当時はたまたま娘が同居していたものの、娘は30歳を超した既婚者であり夫が単身赴任であったために原告宅にいたものであって当時稼働していた様子もないとして、これらの生活状況に照らすと、Aが前記の収入以外に一家の主婦としても稼働していたとは認めることができないから、賃金センサスを用いて基礎収入とすることはできない、と判断されております。
もっとも、 娘が独身であって稼働している場合などでは、判断は異なる可能性があり、要するに、他人のためにどれだけの家事労働をしていたのか、という点が重要となります。
家事従事者としての休業損害が認められるか否かは損害賠償額にも大きく影響しますので、疑問などがある方は一度弁護士に相談しても良いかもしれません。