車両の問題で弁護士に相談した方が良い場合

評価損が問題となる場合

国産人気車種

国産人気車種(レクサス、ランクル、クラウン、ハリアー、シーマ、センチュリーなど)で、

初年度登録から3年以内、

走行距離で4万キロを超えない場合には、

評価損が認められる可能性がございますので、弁護士に相談されることをお勧めします。

高級外車

高級外車(メルセデス・ベンツ、ポルシェ、アウディ、BMW、ミニ(MINI)フォルクスワーゲンなどで、

初年度登録から5年以内、

走行距離で6万キロを超えない場合には、

評価損が認められる可能性がございますので、弁護士に相談されることをお勧めします。

その他購入間もない車種

その他の自動車(軽自動車含む)でも購入から間もない場合(1年以内など)には、

評価損が認められる可能性がございますので、弁護士に相談されることをお勧めします。

そもそも評価損とは

自動車の修理が可能であれば修理をして乗れるようになって戻ってくれば良い、というわけにはいきません。

修理後の車両価格が、事故前の価格を下回ってしまい、その自動車を売却するときに、本来の金額よりも低額になってしまうことがあるからです。

これを評価損といいます。

より正確に言うと、評価損には、修理上の限界から自動車の性能や外観が事故前よりも低下してしまう場合、及び、事故による衝撃などのため車体や各種部品に負担がかかり、修理後相当期間経過後に不具合が生じることが予想される場合といった技術上の評価損と、

事故歴があったことで縁起が悪いとされることなどの諸点が考慮され、中古市場の価格が下落するといった取引上の評価損とがあります。

実務上の最大の問題点は、どのような場合に、この取引上の評価損を認定してもらえるかという点です。

裁判例を概観すると、初年度からの登録期間、走行距離、修理の程度ないし費用、車種等を総合的に考慮して、評価損の有無及びその金額を認定します。

一応の目安ですが(当然、例外もあります)、評価損自体を肯定するか否かの判断基準としては、国産人気車種であれば、初年度登録から3年以内、走行距離で4万キロを超えないことが必要となります。
高級外車であれば、初年度登録から5年以内、走行距離で6万キロを超えないことが必要となります。

物理的全損と経済的全損の場合

車両を買い替えるための費用

全損とされる場合には、車両の価格に消費税及び車両を買い替えるための諸費用が請求可能です。

しかし、弁護士に依頼していないと、車両の価格だけで示談してしまうケースがございます。

そのため、しっかりと車両を買い替えるための諸費用まで賠償してもらうためにも、全損の場合には、弁護士に依頼することをお勧めします。

そもそも全損とは

修理が可能であれば、原則として修理費用の賠償をしてもらえばそれで足ります。

しかし、修理が不可能な場合には、時価額及び買替え諸費用を賠償してもらうことになります。

ここで、注意が必要なのは、この修理が可能か(又は不可能か)は、物理的に修理が可能か否かという観点だけでなく、経済的にみても修理がか可能か否かという観点からも判断されるということです。

そして、経済的に修理が不可能(これを経済的全損といいます)とは、修理の見積額が、車両時価額及び登録手続関係費等の諸費用の合計を上回ってしまう場合のことをいい、このような経済的全損の場合には、修理費の賠償ではなく、時価額及び買替え諸不要の賠償となります(但し、例外的に高額な修理費の賠償を受けられる場合もあります)。

買い替え諸費について

【損害として認められるもの】

(1)検査・登録費用、車庫証明、納車費用

(2)廃車費用

(3)リサイクル料

(4)自動車取得税(事故当時の車両と同程度の中古車を購入したと想定して控えめに算定すべきとされます)

(5)自動車重量税 (自動車重量税は、中古車へは課税されませんので、中古車への買替えを前提とする場合には損害にはなりません)

(6)消費税

 【損害として認められないもの】

(1)自動車税

(2)自賠責保険料

車両時価額が問題となる場合

車両の価格

車両の価格は、中古車市場における同種・同等の車両の価格となります。

レッドブックやイエローブックを参照することが多いですが、人気車種の場合には、実際の取引価格の方が高い場合もございます。

そのような場合には、資料を提示して相手方保険会社と交渉する必要がございます。

判例の解説

なお、車両時価額について、最高裁(最判昭49・4・15民集28−385・交民7−2−275)は「中古車が損傷を受けた場合、当該自動車の事故当時における取引価格は、原則として、これと同一の車種・年式・型、同程度の使用状態・走行距離等の自動車を中古市場において取得しうるに要する価額によって定める」と判示しております。

つまり、先ほど述べた通り、中古車市場における再調達価格が車両時価額ということになります。
この市場における再取得価格については、レッドブックやイエローブックによる方法や、減価償却による方法等がありますが、事案によってどの方法を採用するかはケース・バイ・ケースです。

また、人気車種の場合には、レッドブックやイエローブックを参照する場合よりも、実際の取引価格の方が高い場合もございますので、注意が必要です。

車両買替え請求の可否

車両の買替えについて ~新車への買い替え~

物理的全損、及び、経済的全損の場合には、修理が不可能ですので、車両の買替請求が可能です。
そして、被害者が事故車両と同程度の中古車への買替えで満足出来る場合は、特に大きな問題は発生しません。

実務上問題となるのは、新車への買替請求の可否です。

まず、事故車両が最初から中古車であった場合には、新車への買替請求は出来ません。
では次に、事故車両が新車であった場合はどうでしょうか。これは新車購入後間もない時期に事故に遭った場合に、新車購入価格を事故前の車両価格として買替差額を算定出来るかという問題です。
例えば、新車価格が800万円、一度ナンバープレートを付けて公道を走行して、その価値が750万円にまで下落して(登録落ち)、物理的全損となった場合に、新車価格800万円を前提に買替え請求が可能か否かという問題です。

この登録落ちを事故前の車両価格算定において考慮すべきか否かについては、明確な基準はありませんが、裁判実務上は、この登録落ちを考慮するのが多数です。
そのため、新車購入価格を事故前の車両価格として買替差額を算定することは原則としてできず、新車への買替請求は否定されることがほとんどでしょう。

 

 

 

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